『Precious(プレシャス)』高橋編集長おすすめ江戸時代から受け継がれた味を満喫できる老舗の蕎麦(そば)店
東京・日本橋 薮伊豆総本店
「関西出身のためうどん派だったのですが、薮伊豆総本店をきっかけに蕎麦のおいしさに目覚めました。細めですがこしがあり、とても食べやすい蕎麦です。店内は広くて落ち着いているうえ、サービスも和やかで皆様キビキビしているので、どんな方をお連れしても安心です」(高橋編集長)
「薮伊豆総本店」のルーツは江戸時代。天保年間(1830〜1844年)、現在の京橋に「伊豆本(いずもと)」という名で店を構えたのが始まりです。「町人文化が花開いた時代、いわゆる“江戸っ子”が 上方に対向して“江戸自慢”を掲げます。そのうちのひとつが蕎麦でした。シンプルさのなかに洗練された美しさを見いだすのが江戸の粋。また、うどんとは違い蕎麦には“新蕎麦”を楽しめる時期もあり、初ものが好きな江戸っ子の嗜好にも合致したのでしょう」と6代目店主の野川さん。
伊豆本は明治15(1882)年に「かんだやぶそば」の暖簾(のれん)に入り「薮伊豆」と名前を変えます。その後、平成8(1996)年に京橋から日本橋へ移転し現在に至ります。この界隈は会社員が多いため、親しみやすい接客と利用しやすい価格設定で今日も蕎麦を提供し続けています。
江戸時代の蕎麦には2つの潮流がありました。ひとつは、殿様に献上する御膳蕎麦。蕎麦の実をひく際に出る胚乳の中心部分だけを使った真っ白な更科蕎麦は、。味や香りが薄いため甘いつゆと合わせたり、柚子などを練り込み香りをつけ “かわり蕎麦”として楽しんだそうです。「一方、町人が食す蕎麦は甘皮までひき込んであり、香りや甘みが強く出るため辛いつゆを合わせました。うちもその流れを汲んでいます」と野川さん。
薮伊豆では、甘皮付きの蕎麦を毎朝夕、石臼でひいています。蕎麦は熱に弱いため、気泡が多く熱を吸収する蟻巣(ありす)石の石臼を使い、ゆっくりとひきます。ひき立ての蕎麦粉を二八で打った蕎麦は、かつお節やさば節などを煮出したやや辛めのつゆによく合います。
今回は、コースをご予約の方に「そばアイスクリーム」をサービス。例えば3,240円のコース(税・サービス料込)は、「そば寿司」に始まり、「玉子焼き」や「天ぷら」などを味わい、「せいろ」1枚で締めるといった構成。デザートにいたるまで蕎麦の風味をぜひご満喫ください。
「蕎麦のおいしい食べ方は、少しつゆをつけ、“すする”のがポイント」と6代目。すすって吸い上げることで、鼻から抜けていく蕎麦の香りも楽しめるそうです。11月からは最もおいしいといわれる秋の新蕎麦の時期。江戸時代より受け継がれた昔ながらの味わいをお楽しみください。
「日本の食文化を守るべく、江戸の人々が好んだ蕎麦を昔と変わらぬ形で伝えています。毎日石臼でひく香り豊かな蕎麦を、気軽にお楽しみいただきたいと思います。また、3階のお座敷では寄席を毎月4、5回開催していますので、ご興味がある方はぜひお立ち寄りください」
Photo/ Akinori Maekawa
Text/ Yuko Kubota
〈おすすめコース〉
3,240円コース ※税・サービス料込
・そば寿司 ・湯葉刺し ・玉子焼き ・野菜の煮物 ・天ぷら ・せいろ1枚
※食材の入荷状況等により、メニューが変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
〈カード会員様特典〉
コースをご予約の方に、そばアイスクリームをサービス(11月は昼夜とも、12月は昼のみ)◆特典期間
2018年11月1日(木)→12月20日(木)
※ご予約の際は「タカシマヤのカード会員」である旨をお伝えください。
※お支払いは、タカシマヤのクレジットカードをご利用ください。
推薦者
高橋木綿子(たかはし・ゆうこ)さん
薮伊豆総本店
TEL. 03-3242-1240(前日までに要予約。個室利用のご予約は3名様~、3日前まで。/受付時間10:00~12:00、14:00〜17:00
東京都中央区日本橋3-15-7
http://www.yabuizu-souhonten.com
掲載日/2018.10.18
※表示価格は税(8%)・サービス料込です。
消費税率の変更により価格が変わる場合がございます。