柳原尚之さんの太鼓判!江戸前の職人技が光る厳選素材を味わう天ぷらコース
東京・神楽坂 御座敷天婦羅 天孝
「江戸前の天ぷらが味わえるお気に入りのお店です。お祝い事やちょっと特別な日に家族と一緒に訪れることが多いですね」と柳原さんが紹介してくれたのが、神楽坂の路地裏に佇む「御座敷天婦羅 天孝」。昭和52年に創業し、初代の新井孝一さん、二代目の均さんが腕を振るっています。「石畳を歩いて風情ある一軒家へ。このアプローチも含めて特別な時間が過ごせます」
「なんといっても目の前で揚げて、熱々が楽しめるのが醍醐味です。揚げている最中のかすかな胡麻油の香り、シャーという揚げ音もごちそうですね。まさに、毎日丁寧に仕事をしているからこそ培うことのできる職人技。揚げ手の姿はまるで舞台の役者さんのよう。揚げ手と食べ手の呼吸がぴったり合ってこその天ぷらを味わえます」と柳原さんは絶賛します。
柳原さんが楽しみにしているのが才巻海老。才巻海老とは生後3カ月前後の車海老のこと。二代目の新井 均さんは「うちでは12〜14gのものを使用しています。サイズは小さいけれど、そのぶん甘みや旨みが濃厚です。今は天草産や奄美産のものが多いですね」と言います。
さらに新井さんは筒漁(筒の仕掛けに餌であなごをおびき寄せる)で獲れたあなごにこだわります。「底引き漁とは違い、あなごにストレスがかからないから身が固くならない。脂ものり、骨がやわらかく、皮目もホロホロととけていくのが江戸前のあなごの特徴です。ただ、東京湾のあなごは不漁が続いています。自然環境を守り、生産者を応援していくのも私たち料理人の使命だと思っています」と話します。
最後の食事で柳原さんが必ず頼むのが「天ばら」。「かき揚げがほどよくごはんに混ざり、ほんのりとした塩味が絶妙。ほかでは味わえないメニューだと思います」と柳原さん。「昔は胡麻油の質が悪く、天丼が主流。天つゆに浸けると油が落ちるためです。良質な胡麻油を使えるようになった天ばらは、現代の天ぷらの象徴だと思います。ごはんと混ざり合った油脂の旨みを感じてほしいですね」と新井さんも話します。
「外国人のお客様がエンターテインメントと称してくれたことがうれしかった」と新井さん。海外での食イベントも積極的に行い、天ぷらの普及に努める一方で、生産者の実状も含め、江戸前の食文化を後世にしっかりと伝えていきたいと言います。
店内はカウンター6席と個室が1室。個室は貸し切り利用(2名〜12名)で、揚げ場を掘りごたつ式のテーブルがぐるりと囲みます。基本的にランチはカウンター利用がメインとなります。
Photo/ Reiko Masutani
Text/ Yuko Kubota
〈おすすめコース〉
ランチ「カウンター・天婦羅コース」6,000 円 ※税込・サービス料なし・季節の天婦羅7品 ・お食事(かき揚げ、白飯、御味噌汁、御漬物) ・デザート
※食材の入荷状況等により、メニューが変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
推薦者
やなぎはら・なおゆき●江戸懐石近茶流嗣家(しか)。父・近茶流宗家柳原一成氏とともに「柳原料理教室」で日本料理、茶懐石の研究指導にあたる。平成27年度に文化庁文化交流使に任命。海外にも積極的に出向き、日本料理をグローバルに広げる活動も行っている。2017年5月13日(土)スタートのNHKドラマ「みをつくし料理帖」の料理所作指導・料理制作を担当。2006年4月、2008年4月から各1年間、2010年4月から1年半、TBSテレビ「渡る世間は鬼ばかり」『おかくら』の料理所作指導。
http://www.yanagihara.co.jp
掲載日/ 2017.5.18
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