北新地随一の料亭として名声を誇る「かが万」。そのビルの５階に、系列店の高級寿司店「さか卯」がある。白木の一枚板が凛とすえられたカウンターでは、西日本を中心とした旬の魚介がにぎり寿司として供され、夜は予算が約20,000円以上という高級店だ。そのさか卯の昼限定のメニューとして話題なのが、写真の「ちらし寿司」（3,650円）。漆塗りのおひつを開けると、華やかに並べられた数々の海鮮ネタが目に飛び込んでくる。塩と酢のしめ加減が絶妙なこはだ、煮穴子、車海老、煮だこ、イクラなど、ちらしに使われている素材は約15種類にも及ぶ絢爛ぶり。大阪らしくほんのり甘めのしゃりには、海老のおぼろや甘辛く煮たどんこがたっぷりと混ぜられている。

炊く、しめるなど、きちんと「寿司の仕事」が施されたネタは、それ自体で味わってもしゃりと味わっても美味このうえなく、そのレベルの高さに人気のほどがうかがえる。昼のちらしを入り口に、さか卯のにぎりの世界にも、きっと興味が湧くことだろう。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Noriko Yokota