数種類のカルボナーラを出すが、「冷製カルボナーラ」は、これを目当てに訪れる客も多いという「イル マンジャーレ」を代表する品。ソースの白さは、トリュフオイルを乳化させたことによるもの。ここへ、塩気が絶妙なプロシュート（イタリアの生ハム）と、ピリリと辛い黒胡椒をアクセントに添える。テーブルに運ばれてきたカルボナーラは、トリュフの贅沢で気品あふれる香りが立ち、おいしさへの期待をいやがうえにも高めてくれる。目の前でふるふると揺れる半熟卵は、計算し尽くされた火入れで、ナイフを入れれば隙間から黄身がとろり。さらに卵をくずし、細めのパスタ「フェデリーニ」にたっぷりと絡めて食べる濃厚さと至福感がたまらない！　

使われているのは「滋養卵」。よもぎや海藻、ナラの樹液を成分とした自然飼料によって育てられているため、生臭さがなく、旨みが強い。このひと皿の随所に、数多くのレストランを有名にしてきた鵜野秀樹シェフのオリジナリティを見ることができる。

Photo/ Kohei Nakamoto
Text/ Noriko Yokota