日常を忘れ、季節の移り変わりを五感で堪能
東京・銀座 銀座 小十
2013年の秋、パリに数寄屋づくりの店「奥田Paris」を出店し、話題となっている奥田 透さん。外国人用にと手を加えることなく、真っ当な技術をもって日本料理の真味を伝えていきたいと言う。並木通りにある「銀座 小十」でも、その心意気は変わらない。奥田さんは、長年の料理人生のなかで、どうしたら新鮮な食材の良さを調理過程で失わずに料理に仕上げることができるかを、科学的見地から知識を得、技術を磨いてきた。唐津や信楽の器に収まった料理は見れば見るほど正統だが、味わうと凡庸さはなく、旬の食材をおいしく味わえることに対する感謝の気持ちが、自然と湧きあがる。
今回ご紹介するお献立は、旬の貝類とタケノコなどの山の幸を使った春のコース。先付、椀にはじまり、お造り、焼き物、炊き物、ご飯まで、奥田さんが見立てたさまざまな春の食材が盛り込まれている。取り合わせる付き出しには、芽吹きの命を称えた春菜がたっぷりと使われ、新しくはじまる季節を謳歌できる内容だ。日本料理が徐々にグローバル化していくなかで、これこそがきちんとした日本料理といえるもの。季節を愛でたいという人間のやさしい感情を満たし、そのおいしさに安心して身を委ねられるもの。「銀座小十」の料理は、そんな、もっともな要素で彩られている。
Photo/ Akinori Maekawa
Text/ Noriko Yokota
基本情報
記事更新/ 2014.03.18
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