京都・四条河原町の細道に暖簾を掲げる「京料理 三栄」は1934年に創業。現在は三代目の清水敏夫（しみず としお）さんが腕をふるいます。夏は鱧、冬はすっぽんやかぶらなど四季折々の素材をメインに据えたコースを楽しみに訪れる常連のお客様が多いお店です。春の名物は、毎年3月から5月半ば限定で提供する、たけのこ料理（3月初旬は熊本産や高知産のたけのこを使用）。ランチ限定の「筍饅頭御膳」は木の芽和えや焚合わせ、饅頭など、たけのこの魅力が満載の人気メニューです。

店主の清水さんが、たけのこづくしの献立を作り始めたのは7年ほど前から。きっかけは、京都・西山の江戸時代から続くたけのこ農家・藤下さんからお手紙をいただいたことでした。実際に藤下さんが丁寧に育てたたけのこを食べて、その素晴らしさに惚れ込んだといいます。「たけのこは土をやわらかくするとスクスク伸びます。最後に顔を出すときに硬い土をのせることで、穂先だけが少し曲がった状態になります。先がちょっと曲がっているのは、たけのこががんばって土から顔を出した証。おいしいたけのこの目印です」と清水さん。

「筍饅頭御膳」の付出しは、「筍木の芽和え」。たけのこといか、春の味覚・独活（うど）を薄い出汁で炊いたのち、水気を飛ばしたものを木の芽味噌で和えています。白味噌と木の芽を合わせた木の芽味噌は、鮮やかな緑色を出すため、ほうれん草を加えているそう。目にやさしい若草色と木の芽の香りが春の訪れを感じさせる一品です。

清水さんによると、西山産のたけのこはアクや独特のえぐみが少ないので、味付けがしやすいそうです。「たけのこは掘ってからゆがくまで、いかに短時間で仕上げるかがポイントです」と清水さん。3月20日頃からは、毎朝のように西山までたけのこを仕入れに行き、すぐにゆがくそうです。

西山産のたけのこの良さがいちばんよくわかるのが「若布（わかめ）と筍焚合せ」。薄味でもたけのこ自体にうま味がしっかりと入り、追い鰹をすることで風味よく。クセがなく、やわらかで、初めて食べた方がそのおいしさにはっと目を見開き、「今まで食べたものと全然違う！」と驚かれることもしばしば。

「筍饅頭あんかけ」は、たけのこをミキサーにかけてスムージーのような状態にしたものに道明寺粉を混ぜて揚げたもの。道明寺粉を加えることでふくらみ、餅のようになったところに海老を射込んでいます。表面は香ばしく、中はもちもちとした食感でたけのこの風味がしっかり楽しめます。熱々の銀餡にも細く切ったたけのこがたっぷり。

初代がお店を開業した当時は、寿司店でした。それゆえに、現在も名物はちらし寿司で、「筍饅頭御膳」の締めにも「ちらし寿司」が用意されています。酢飯につけ焼きにした鯛の身や椎茸を刻んだものを混ぜて海苔をのせたシンプルな仕立てです。今回は会員様特典で「ちらし寿司」を「筍まぶし蒸し寿司」にグレードアップしてご用意。「筍まぶし蒸し寿司」は、ちらし寿司をベースに海苔は使わず、炊いたたけのこの角切りを混ぜ、錦糸玉子と椎茸、たけのこをのせて蒸しています。蒸すことで酢が飛ぶため、酸っぱさは控えめです。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada

〈おすすめメニュー〉

「筍饅頭御膳」お一人様3,300円（税込）
・筍木の芽和え
・造り一種
・若布と筍焚合せ
・海老と筍の天ぷら
・筍饅頭あんかけ
・筍まぶし蒸し寿司（通常はちらし寿司）
・デザート

※食材の入荷状況等により、メニューが変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。
※京都・西山産のたけのこは3月20日頃から登場。それ以前は、熊本産や高知産などのたけのこが使われます。

〈カード会員様特典〉

コースの「ちらし寿司」を「筍まぶし蒸し寿司」にグレードアップ
※ランチタイムに「筍饅頭御膳」3,300円（税込）をご予約のうえ、ご注文の方に限ります。
※1～8名様

◆特典期間
2022年3月1日（火）→4月30日（土）

◆営業時間
ランチ11：30～14：30（ラストオーダー13：30）
ディナー16：30～22：00（ラストオーダー20：00）

◆定休日
月曜日

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