暖簾をくぐると、香ばしい胡麻油の香りが鼻孔をくすぐる。2012年4月に本郷町からみなとみらいに移転オープンした「ふく西」。店内は、カウンター席「匠」とテーブル席「禅」に分かれていて、それぞれ違う趣向の天ぷらコースがいただける。店主の福西儀光さんによると、今のおすすめは春の山菜だ。ふきのとう、たらの芽など、これからの時季は山菜だけでも10種類は揃うという。魚介なら、牡蠣や蟹、白魚など。根菜も甘みが増して、豊かな味わいが楽しめる。天ぷらに使う油は、胡麻油をメインに5種類をブレンドしたもの。そのときどきでブレンド率を変えるという繊細な心遣いと巧みな技術によって、お腹と心を満たす極上の天ぷらができあがるのだ。

揚げ立ての天ぷらは、カレー塩、昆布塩、天つゆの3つの味付けでいただく。カボチャやハスなど、甘みのある野菜はカレー塩で、海老やキスのようなシンプルな味わいの魚介は昆布塩、穴子などは大根おろしをたっぷり入れた天つゆで。スタッフのアドバイスも参考にしつつ、自分好みの味を見つけてみたい。ふんわりとした衣の中には、旬の香りが詰まっている。日本の四季を味わう喜びに酔いしれてみてはいかがだろう。

Photo/ Akinori Maekawa
Text/ Tomoko Ohashi