店の外に敷かれた赤い絨毯を進むにつれ、私たちを非日常の空間へといざなう、「銀座うかい亭」。店へ入れば、新潟の豪農の屋敷から移した樹齢約100年の欅柱が巡らされ、エミール・ガレのコレクションが鎮座する、豪華な待合室が見えてくる。「銀座うかい亭」でメインとなるのは、なんといっても鉄板料理。厳選された黒毛和種の牛肉や魚介が目の前で焼かれる空間は、音や香りの臨場感にあふれ、料理を待つ時間でさえわくわく楽しい。鉄板で焼くステーキの利点は、油脂や水分をこまめに拭き取ることができる点。肉が酸化した油脂に長く触れずにすむので、肉本来のおいしさを味わうことができる。

しかしそこは｢百聞は一見に如かず｣。このポイントを知ってからシェフの手元を見ると、牛肉を最高の状態に仕上げるための心遣いが想像以上であることに、感銘を受けるはずだ。ステーキ以外で常連客が楽しみにしているのは、締めの食事。ガーリックライスか素麺かを選べるのだが、この素麺が、出汁・麺ともに素晴らしいと評判だ。食後はカフェテーブルへ席を移動し、デザートラウンジへ。ワゴンから好きなだけ小菓子を選べる平日限定のプティフールワゴンは、特に女性に好評だ。

Photo/ Akinori Maekawa
Text/ Noriko Yokota