正統派江戸前寿司で知られる「鮨 青木」。店主の青木利勝さんは、その2代目。京橋の名店「与志乃」で修業後、1994年に店を継ぎ、寿司をにぎり続けてきました。同店で使う素材は、青木さん自らが市場に足を運び、ときには地方の生産地にも赴いて見極めています。その確かな技術は、酢締めにして白身魚の旨みを存分に引き出したサヨリをはじめ、春のにぎりからも感じられるはず。一方で、フランス料理などに使われる赤座エビをレアなソテーで出したり、穴子にキャビアを添えるなど、意外性のある料理も提供。江戸前寿司の基本があるからこそできるメニューが美食家をうならせています。

真摯な研鑽から生み出される美味に加え、同店の大きな魅力となっているのが、青木さんの人柄です。「寿司屋の醍醐味は、カウンターでお客様と向かい合えるところ。たとえば、女性のお客様にはシャリを小さくにぎるなど、その方に合わせたサービスを心掛けています」と、青木さん。温かな笑顔、そして心遣いが、訪れる人の心をとらえているのです。「鮨 青木」は、西麻布店と、現在改装中で、3月中旬にリニューアルオープン予定の銀座本店の2店舗。銀座本店は、数寄屋造り風のしつらえで、個室カウンターも新たに登場するとあって、ますます期待が高まります。

Photo/ Akinori Maekawa
Text/ Ryoko Nakagawa