日本の旬が奏でる真っ当なおいしさ
東京・赤坂 赤坂津やま
ここ何年かで赤坂の表通りはだいぶその様相を変えたが、路地裏に入るとまだ、政界・財界人が自分の家の台所のように足繁く通う名店が、数々残っている。「赤坂津やま」もそのうちのひとつ。現在店を仕切るのは、二代目主人の鈴木弘政さんと奥様の純子さん。その季節に最も旬となる食材を、おいしさを率直に伝えるべく真っ当かつ正統な味として出し、先代の頃と同じように多くの食通を喜ばせている。「津やま」を代表する椀といえば、常連客は、先代が修業した幻の名店、銀座「わたき」の流れをくむ背脂入りの「沢煮椀」と答えるだろう。しかし、ここにはもうひとつ、冬のいっときのみお品書きに登場し、常連客がこぞって注文をする名物椀がある。
それが、昆布を入れた湯でとろとろになるまで火を入れたフグの白子を、甘く、吟醸香がふわっとたちのぼる白味噌の汁とともに椀に盛った、白味噌椀。白い食材同士を、あえて飾り立てることなく椀に仕立てたその佇まいは、まさに、正統派を貫く「津やま」の料理精神を反映しているといえよう。春には筍や山菜、夏には先代が好んで使った広島の鮎、秋には松茸や根菜がお品書きにのぼる。職人が過度に主張せず、日本の旬が主役の店。ストレートに伝わるおいしさが、日本料理の素晴らしさを伝えてくれる。
Photo/ Akinori Maekawa
Text/ Noriko Yokota
基本情報
東京・赤坂
赤坂津やま
TEL. 03-3583-2482
東京都港区赤坂2-14-7
赤坂津やま
TEL. 03-3583-2482
東京都港区赤坂2-14-7
掲載日/ 2015.12.18
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定休日:日曜、祝日