八坂神社ゆかりの湧水が生むまろやかな味わい
京都・祇園 祇園にしかわ
古都らしい風趣を感じる、京都・下河原通。石畳が招く細い路地に歩を進めるとその先に佇む異空間、それが「祇園にしかわ」だ。「濱登久」「祇園さゝ木」などで経験を積み、「祇園花霞」「わらびの里」では料理長としても活躍してきた西川正芳さんが、店をオープンさせたのは2008年9月。2012年には改装を経て、数寄屋造りの趣ある空間が実現した。茶の湯の心を受け継ぐ、季節の粋を凝らしたしつらえ、どの席からも眺められる中庭など、食の愉しみとともに心豊かなひとときを過ごしてほしいという演出がうれしい。本格的な懐石料理をベースにした献立は、手間ひまをかけているがシンプルに見える料理を旨とする。最も料理人の手腕が問われるという「椀物」にも、西川さん独自の工夫が光る。
出汁を引くのに用いる水は、八坂神社ゆかりの「美人の水」。清らかな超軟水が昆布の旨み・甘みをまろやかに引き出す。間人(たいざ)の松葉蟹の真薯と棒身を贅沢に使った椀物は、「雪化粧をイメージして、薄葛を引いた出汁の中に下ろしたかぶらを入れた雪中仕立てでお楽しみいただきます」と西川さん。ベースの出汁には鰹に加えて蟹の甲羅を用い、蟹の旨みをあますところなく堪能させる。活気あふれるカウンターなど、肩肘張らずに端整な品々をゆっくり味わえるのも魅力の一軒だ。
Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada
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掲載日/ 2015.12.18
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