匠の技を実感できるフグ・鱧専門料理店
京都・祇園 富久(とみきゅう)
1935年9月、京都・祇園の一角にて、割烹料理店として創業した「富久」。当初より人気を博していたフグ料理のオフシーズンである夏場に、鱧料理をメインに提供し始めたのは2代目の室田俊治さん。以来、フグ・鱧専門料理店として親しまれてきた。吉田茂首相、力道山、藤山寛美ら各界の著名人も愛した店は、各部屋1日1組制のおもてなしで心ゆくまでくつろげるのもうれしい。鱧料理は3月下旬から10月下旬までの提供だが、「梅雨に入ってから9月中旬頃までが一番おいしいですね」と室田さん。鱧は韓国産や瀬戸内・淡路島産の肉厚で脂ののりや皮・骨のやわらかさがほどよい500グラムのものを厳選し、毎朝店でさばき、寝かせてから使う。
涼感あふれるガラス器で供される「はも造り」はふんわりと口当たりの良い「はもの落とし」、皮のみに熱湯をかけた「松皮造り」、両面を香ばしく炙った「炙り」、ほのかな甘みを感じる「生造り」の4種。清涼感があり、旨みに富んだ鱧の魅力が存分に味わえる。「鱧の身が花のように咲き開く姿を楽しみつつ召しあがっていただけたら」とすすめる「はもしゃぶ」はカツオと昆布、鱧の骨からひいた出汁にくぐらせ、くるんと身が丸まったら食べ頃。徳島産のスダチを使った自家製ぽん酢のすっきりとした酸味が淡白でいて脂ののった鱧の個性を引き立てる。鱧を知り尽くした専門店ならではの技を感じる品々で鱧の魅力を堪能したい。
Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada
記事更新/ 2015.6.18
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