日本庭園に面した開放感あふれる空間でもてなす「オールデイダイニング リモネ」は2011年8月のオープン。ホテルの伝統と新しい食のスタイルをミックスさせたメニューで人気を集める。松尾大助シェフがオープンを機に考案したのが「中之島五丁目カレー」。「これまでのホテルカレーの殻を破る一品を作りたくて」と小麦粉や乳製品は一切使わず、フォン・ド・ヴォーをベースに約30種ものスパイスを駆使している。まず驚かされるのは、そのビジュアル。自家精米のごはんが隠れるほど、びっしりと盛り付けられたのはホテル伝統のローストビーフ。低温で約4時間かけて焼いた肉はぷるぷる柔らかくジューシーな味わい。

表面はグレービーソースで軽く味がつけられ、肉だけでもおいしくいただける。リンゴ、バナナ、パイナップルや野菜のうまみをギュッと凝縮させたルウは最初に甘くまろやか、次第にスパイスが香りたち、じわじわと辛みが広がっていく。厚く切ったローストビーフとともにボリューム感のあるひと皿ながら、後口の爽やかさが印象的だ。2つの川に囲まれて浮かぶ「中之島」に見立てたごはんの盛り付けにもシェフの遊び心がうかがえて、愉快。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada