2013年4月から「中国料理 香桃」の厨房を預かる和栗邦彦シェフは、東京の人気中国料理店をはじめ、シンガポール発の有名レストラン「クリスタル ジェイド パレス 東京店」などで料理長として活躍してきた。ここ「香桃」では「日本人に合う本格的な広東料理を」と本場・香港の気候風土に似た沖縄や九州などの素材に着目したり、ヘルシーな調理法を提案するなど、新しい試みでもてなす。繊細な料理を得意とするシェフが作る酢豚は、パイナップル、マスクメロン、イチゴとフレッシュなフルーツをたっぷり使う香港スタイルをベースにアレンジを加えた軽やかな一品。薄切りの豚肉はカリッと揚げて、中のジューシーな味わいを逃さないように。

あんは仕上げにさっと絡める程度にして食感の楽しさを演出。ケチャップベースのあんはフルーツの香りを生かすため酢は控えめ。サンザシと梅を入れ、氷砂糖でまろやかな甘みを際立たせている。ひと口ごとに弾ける、みずみずしいフルーツがなんとも爽やか。洋のひと皿のようにしゃれた盛り付けも楽しませてくれる。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada