店内に流れる大音量の音楽と、壁に飾られた鮮やかな現代アート。店に入った瞬間から否応なしにテンションがあがってしまうのが、松本喜宏シェフの店「トラットリア パッパ」だ。松本シェフは東京・麻布の「ラ・コメ―タ」、ホテルニューオータニ大阪「Fontana」などで修業後、2002年に自店をオープンした。陽気でパワフルなシェフが得意とするのは肉料理…と思いきや、なんとシェフは無類の魚好き。そのため、全メニューが魚と野菜を中心に構成されている。写真は、初夏の風物詩「初ガツオ」を使ったシチリア風パスタ。「具材がごろごろしているパスタが嫌いなんです」というシェフのソースは、細かく切って煮込まれたカツオが、スパゲッティと絶妙に絡んで味わえる逸品。

トマトやケイパーの香気あふれる酸味や、松の実の香ばしさ、レーズンの甘さ、フェンネルシードの爽やかさ…たくさんのイタリアの味が、カツオの風味を底から押し上げている。カツオならばほかにも、カルパッチョやソテー、フライなど、好みを伝えれば極力希望をかなえてくれる懐の深い店。新町の街角で営業を続けて10年以上。顧客から支持されつづける人気店だ。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Noriko Yokota