南仏ニースのフレンチレストラン「KEISUKE MATSUSHIMA」で名を馳せた松嶋啓介シェフが、2009年、東京・原宿の東郷神社のたもとにオープンさせた「レストラン アイ」。リストの最初に日本産ワインを並べたり、パンを米粉で焼いたりと、日本を意識したトップシェフの提案に注目が集まっている。店を代表するビーフシチューもユニークだ。名前は「I（アイ）のビーフシチュー　東郷平八郎の想い」。イギリスで初めてビーフシチューを食べ、虜になったという東郷平八郎に思いを馳せ、松嶋シェフが考案。具の主役は牛ほほ肉と牛タン、そして東京周辺で伝統的に作られている”江戸野菜”である「滝野川牛蒡（ごぼう）」と「馬込三寸人参」。

ソースはフォン・ド・ヴォー、牛ほほ肉、牛タン、滝野川牛蒡（ごぼう）などを3日間煮詰めたもの。味わい深さ、なめらかさが秀逸で、上質な赤ワインと対等にわたり合える傑作。STAUB（ストウブ）の鍋に入った熱々のビーフシチューは、まずは目の前でプレゼンテーションされ、その後、皿に盛り分けられる。特別感あふれる演出も人気だ。

Photo/ Kohei Nakamoto
Text/ Noriko Yokota