銀座にある四川料理の名店「趙楊」出身の山村光恵さんが妹さんと2008年に開いたお店。地元の常連からプロの料理人に至るまで、本格四川料理をカジュアルに楽しめると幅広い層に愛されている。一番の人気メニューは「陳麻婆豆腐」（1,470円）。甜麺醤（テンメンジャン）で炒めた挽き肉に、豆板醤、豆鼓（トーチ）、山椒、唐辛子で香りと風味を加え、食欲を誘う独特の赤いスープを作り出す。その見た目とは裏腹に、ひと口食べるとまず、甜麺醤のまろやかな甘さと鼻を抜ける山椒の香りに驚く。その後に、素材のうまみにかぶさるように辛さがじわりと込み上げてくる。「四川料理の醍醐味は、しびれる辛さの“麻辣（マーラー）味”です。

辛すぎるというイメージを持たれますが、豆腐や挽き肉の味を引き立てる“ほどよい辛さ”を心がけています」と山村さん。舌の上で、時間差によって生まれる甘さと辛さの絶妙なハーモニーがお客を虜にしてやまない。ほかにも、唐辛子をふんだんに使ったスパイシーな「鶏のから揚げ朝天椒炒め」（1,680円）や、じゃがいもの味わいを塩と腐乳でシンプルに引き出した「じゃがいもの細切り炒め」（1,160円）が人気のメニュー。8品からなる5,250円のコース料理もおすすめ。

Photo/ Kohei Nakamoto
Text/ HEARST FUJINGAHO