日本料理の名店「かが万」が手がける、おでん専門店。「おでんという料理がもつポテンシャルを最大限に引き出し、素材を生かした料理を提供しています」と語る店長の吉田年宏さん。「かが万」で修業を積み、3年前から「万ん卯」で腕を振るう。ここで供されるのは、日本料理の技を注いだ料亭仕込みのおでん。かつおと昆布の出汁に、野菜出汁を合わせ、うす口醤油、塩で調えたおでん出汁。野菜の甘みと和風出汁のコクが絶妙に絡み合う。関西ではおなじみの「さえずり」も、この出汁にかかるとおいしさが際立つ。甘辛く炊いたくじらの舌は、口に運ぶと独特のもっちりとした食感に、ほどよい塩気と甘い香りが広がる。

これを目当てに訪れる客も多いという。出汁が美しくはられた器に、上品に盛られるおでん。「ひろうす」「ふかひれ」「焼売」「ロールキャベツ」などの定番から、春は「蛤」「わかめ」、夏は「鱧」「鮑」、秋は「松茸」「茄子」、冬は「牡蠣」「甲箱蟹」が味わえる。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ HEARST FUJINGAHO