医食同源をコンセプトにした料理が好評の「中国料理 故宮」で料理長として1999年より活躍するのは、中国・天津出身の王 憲生（ワン ヒンサン）さん。香港での修業の後に来日、素材の味を生かす繊細で健康的な日本料理と出合い、塩・砂糖・油を控えた独自の調理法を生み出しました。それぞれの食材が持つ体への作用を理解したメニューづくりを心がけ、素材の旨みが増す旬の時期を選び、香辛料や火入れなどの技術を駆使して腕を振るいます。「イセエビとウニのXOソース炒め」（写真上段）は、プリプリと弾むような食感の伊勢海老に、熱を加えることで甘みがさらに増す雲丹を炒めて添えた贅沢なひと品。甘露煮の栗、パプリカ、キヌサヤの彩りも鮮やかです。

乾物の状態から仕上げまで10日間かける渾身のひと皿は､「国産干し鮑姿煮込み オイスターソース」（写真中段）。鮑のエキスがたっぷりの戻し汁を使って炊くことでより濃厚な旨みをプラス。香辛料が効かせてあり、噛むほどに深い味わいが広がります。旬の食材と滋養のある素材を惜しみなく使い、手間ひまかけた王さんのスペシャリテ「佛跳牆（ぶっちょうしょう）」（8日前までに要予約）はおいしく食べて健康な体を作る蒸しスープ。ぜひ味わいたい逸品です。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada