鵜飼で有名な長良川のほとりに、50年にわたって店を構える「潜龍」。風格ある本館は約130年前に建てられた日本家屋で、館内は美しい日本庭園を望む掘りごたつの個室となっている。新館は大きな窓から長良川や金華山が眺められる造りで、椅子席の個室も用意。全20室が用意されており、人数やシチュエーションでの使い分けが可能だ。 提供される肉は三重県松阪市などの契約牧場から仕入れており、美しい霜降りながら赤身の主張もはっきりしている。肉の旨みがより強く感じられるよう、一般的な期間よりも長く熟成させているそうで、噛むほどに口に広がる赤身の強い肉らしさと脂のやさしい甘みがその手間ひまを物語っている。

肉以外の食材へのこだわりも強く、質やサイズなどを指定して栽培を依頼している肉厚の椎茸をはじめ、淡路島産のタマネギ、信州産のアスパラガスなど、その時期いちばんおいしいとされる野菜を使用する。これらすべてが目の前で職人の手により焼き上げられ、その様は肉や野菜が舞う舞台のよう。常連の舌と心をつかんで離さない味は、そんな演出と心遣いの積み重ねが支えているのだろう。

Photo/ Hiroshi Mamiya
Text/ Yuko Morishita