南フランス・ニースに本店のある「KEISUKE MATSUSHIMA」。総料理長の松嶋啓介さんは2006年に外国人として最年少でミシュランガイドの星を獲得し、南フランスを代表するスターシェフとして、フランスでも知名度が高い料理人です。原宿にある「KEISUKE MATSUSHIMA」は、その東京店。2016年より、長屋英章さんが料理長として厨房を指揮し、ニース本店と同様のスタイリッシュなフレンチを生み出しています。松嶋さんも長屋さんも、南仏各地で修業を積んだ実力派。高級リゾート地ならではの上質感や開放感などを、最新の料理として表現しています。それでも“美しいだけ”の料理にならないのは、ニースの郷土料理の文化的背景を研究しているからこそ。その姿勢はフランス政府から評価され、松嶋さんは芸術文化勲章を授与されました。

写真の料理は、店を代表する品々。前菜の「フォアグラのプロヴァンス風 ヌガー仕立て 季節のフルーツ、カマルグの塩」（写真上段）は、南仏の銘菓ナッツ入りヌガーへのオマージュで、フォアグラとナッツに共通して含まれる香り成分に着目し、ひと皿に合わせたもの。季節ごとに替わるフルーツのソースがアクセントになっています。現代的な「サラダニソワーズ」（写真中段）は、ニースでも話題。網焼きにしたマグロの赤身はボリュームがありますが、ウズラの半熟卵、黒オリーブパウダー、アンチョビソース、アイオリなどのソースで、飽きずに楽しくいただくことができます。
昼は窓越しの木々の緑が気持ちよく、夜はライティングを反射してぐっとロマンティックに。どちらに訪れても、まるでリゾート地にいるような感覚で、気持ちよく食事を楽しむことができます。

Text/ Noriko Yokota