この味が食べたい! ファンの多い逸品“変わらぬように変えてきた” 時を超えて愛される名物料理
京都・洛北 山ばな 平八茶屋
天正年間(安土桃山時代)の1576年、洛北・山端(やまばな)の地に誕生した「山ばな 平八茶屋」。若狭街道(通称・鯖街道)を行き交う旅人は京の都から一里のこの場所で休息をとり、麦飯とろろ汁をかき込んで旅路についたそうです。440年を超える長い歴史を紡ぐ料亭には、頼山陽(らいさんよう)、岩倉具視、夏目漱石、北大路魯山人など著名人も多く訪れています。
創業以来の名物、麦飯とろろ汁は現在も昼・夜ともに締めの食事として供されています。お昼の献立「麦飯とろろ膳」は、彩り豊かな料理が少しずつ、いろいろ味わえると人気のメニュー。愛らしい猪口(ちょこ)には、まぐろの角煮、水菜としめじのお浸し、いかと九条ねぎと薄揚げの酢味噌和えなどが盛り付けられています。
焚き合わせはかぼちゃ、ごぼう、湯葉、花麩、さわらの黄身揚げ煮、ふき、木の芽。取肴(とりざかな)は出汁巻き、鶏松風、海老のうま煮、サーモンのつけ焼き、さつまいもの蜜煮、みょうがの甘酢漬け、いかの黄身焼きなど。素材の持ち味や食感を生かした滋味豊かな品々に箸を持つ手が弾みます。お造りはまぐろやいかなど2種が用意されます。
名物のとろろ汁は、アクが少なく粘りが強い上質な丹波産のつくね芋を丹念にすりおろし、北海道・礼文島で採れた天然利尻昆布と鹿児島・枕崎産本枯れ節を使ったうま味たっぷりの出汁でゆっくりのばしています。きめが細かく口当たりなめらかなとろろ汁の隠し味に少量の白味噌を加えることで、つくね芋独特の香りを抑え、風味がまろやかに。温かいご飯にとろろ汁がしっかり絡み、プチプチとした麦の食感も楽しく、シンプルながら心癒やされるひと品です。
創業当時、米は年貢として納めるもので庶民が口にすることはできず、五穀の中でも栄養価の高い麦が主食とされていました。白米と違い、パサパサとした麦飯にとろろ汁をかけることで食べやすく、またとろろの持つ酵素が麦の消化を助ける役割もあったとか。現在は、米の風味がしっかりしていて麦と相性が良い岡山県産の朝日米を使用。米と麦、それぞれの食感や存在感をとろろ汁がほどよくまとめています。抹茶のように粉末状に挽いた高知県産川海苔の芳しい香りが食欲をそそります。
麦飯とろろ汁は創業以来の名物ですが、代々の当主により少しずつ変化しながら伝承されてきました。21代目のご主人・園部晋吾(そのべ・しんご)さんは、昆布や鰹、米やつくね芋など素材の産地を吟味し、自身の代で変えたそうです。また、以前は職人の感覚頼りであった出汁の引き方なども実験を重ねてデータ化し、きちんとしたレシピを作成しました。「時代に即して柔軟に。より良く変えていくことで“変わらない味”を守っています。昔からのお客様はいつ来ても変わらないねと喜んでくださいます」と園部さん。
騎牛門をくぐり、美しい庭の緑を愛でながらお部屋へ。木々のざわめきや高野川のせせらぎが心和ませる空間でいただく自然の恵みを生かした名物料理。代々の当主が磨きをかけながら大切に受け継いできた逸品をぜひご堪能ください。
Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada
〈おすすめメニュー〉
「麦飯とろろ膳 造り付」4,950円 ※税込・取肴
・焚合
・猪口三種
・造り(二種盛)
・小吸物
・麦飯とろろ汁
・香物
・水物
※食材の入荷状況等により、メニューが変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。
〈カード会員様特典〉
食前酒またはソフトドリンク(店指定)を1杯サービス※お昼の献立4,950円(税込)以上をご予約・ご注文の方に限ります。
※1~5名様
◆特典期間
2021年6月1日(火)→7月31日(土)
除外日/貸し切り営業の場合
◆営業時間
ランチ11:30~15:00(最終入店13:30)
ディナー17:00~21:30(最終入店19:00)
◆定休日
水曜日、夏季休業、冬季休業あり
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掲載日/2021.5.18
※表示価格は税込です(掲載メニューはサービス料の設定なし)。懐石料理はサービス料15%別。