『エル・グルメ』小脇編集長おすすめ山、草原、森、林 ──自然の風景に旅するように出合う、フレンチのコース
東京・六本木 ル スプートニク
「『ル スプートニク』は東京ミッドタウン近くにある隠れ家的フレンチ。高橋シェフの料理には女ゴコロをくすぐるラグジュアリーさがあります。絵画のように美しいのにクラシックなフレンチをしっかりと感じさせる味わいで、シャンパンによく合います」(小脇編集長)
高橋雄二郎シェフは、フレンチの名店で研鑽後そのままパリに残り、ビストロ、ブーランジェリー(パン店)、パティスリーなどで働き、フランスの料理技術を幅広く深く学んだ希少な存在。帰国後シェフを務めた代官山「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」では5年連続ミシュラン一つ星を保持。2015年にオープンさせたここ「ル スプートニク」でも、翌年、早速ミシュラン一つ星を獲得しています。
高橋シェフのコース料理の特徴は、店名の“スプートニク(ロシア語で旅の道連れという意味)”にあるように、コースを食べ進むうちにまるで旅をしているような気分になれること。それも、ある時は落ち葉を踏みしめたり、ある時は雪深い山で野生動物とすれ違ったり…と、ひと皿ごとに、自然が色濃く残る地球のどこかを転々と旅しているよう。目の前に料理が出されるたびにその感動が蓄積され、心の中で「旅」となって紡がれるのです。
こちらの鮮烈な前菜は、冬季限定。塩気のあるフォアグラの上に、薔薇が香るゼリーを少量のせ、花びら型に抜いたビーツを何枚もさし、真紅の薔薇を表現したもの。ポルト酒、黒こしょう、薔薇そのものが香り、“官能的”という言葉がぴったりな、店を代表するひと品です。数が限られるのでコースで必ず出されるわけではなく、あらかじめ“薔薇ビーツ”を食べたいとご予約をした方、お誕生日の方、初めて来店する方に優先して出しているそうです。
北海道の「蝦夷(えぞ)鹿」肉も、「ル スプートニク」で一度は食べておきたいメインディッシュ。塩、こしょうをしたのち冷たいまま200度のオーブンに1分ごとに出し入れするなど、赤身肉特有の鉄くささを抑える高橋シェフ独自の火入れ法によって、今まで食べたことがない! と驚くほど、クリアですっきりとした味わいに仕上がっています。歯切れもサクッと軽く、やわらかく、口中がやさしさで満たされるよう。ニイクラファーム(東京・西東京市)で37年間育ってきたローズマリーの太い枝と一緒にローストされているので、そのほのかな香りもごちそうです。
旅の終盤にいくつか続くデザートのうちの最初の1品は、まあるい月が降りてきたかのような「柚子のスフレ」。柚子釜から膨らんだスフレはふわふわで温かいのですが、それに反して、フレーク状に散らされたアイスクリームはひやっと冷たい。それぞれを別に食べても絶品ですが、ふたつを同時に口に入れると、まるで柚子風味のチーズケーキを食べているような幸せな気分になります。
1977年福岡県生まれ。大学卒業後、調理師学校へ。都内レストランで修業し2004年渡仏。フランスの三つ星「ルドワイヤン」をはじめ、ブーランジェリー(パン店)やパティスリーなどで研鑽を積み帰国。東京・代官山「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」のシェフを経て、2015年に独立。
Photo/ Yuta Fukitsuka
Text/ Noriko Yokota
〈おすすめコース〉
昼 7,128円 ※税・サービス料込
・おつまみ2品 ・前菜3品 ・魚料理 ・肉料理 ・デザート ・小菓子 ・食後の飲み物
※食材の入荷状況等により、メニューが変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
〈カード会員様特典〉
昼または夜のコースをご予約の方に、シャンパンまたはソフトドリンクを1杯サービス◆特典期間
2018年1月6日(土)夜→2018年2月28日(水)
※2017年12月31日(日)→2018年1月6日(土)昼は休業
※ご予約の際は「タカシマヤのカード会員である旨」をお伝えください。
※お支払いは、タカシマヤのクレジットカードをご利用ください。
※キャンセル・人数変更のご連絡は2日前までにお願い申しあげます。それ以降はキャンセル料が発生いたします。
推薦者
小脇弥香(こわき・みか)さん
「食」が主役のライフスタイル・マガジン『エル・グルメ』。オリジナルレシピや国内外の食情報など、ワンランク上のコンテンツを提供します。2002年創刊。
http://www.elle.co.jp/gourmet
https://twitter.com/ellegourmetjp
掲載日/ 2017.12.18
※表示価格は税(8%)・サービス料込です。
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