皇居の緑の先には、新宿副都心や六本木、さらに秩父山系までが広がり、天気がよければ富士山までを目にできる。丸の内ビルディング最上階に位置する「レストラン モナリザ 丸の内店」に入店すると、まずその眺望に目を奪われる。「レストラン モナリザ」といえば、ジョエル・ロブションの愛弟子、河野 透さんの店として知られる。「丸の内店」では、河野さんの薫陶を受けた小暮謙一さんが料理長を務めている。「クラシック・フレンチを土台に、女性にも喜んでいただけるアレンジを考えています。また、料理では香りを大切にしています」と小暮さん。

ランチの一品、「牛ロース肉のシャリアピンステーキ」は、皿が運ばれてきた瞬間から、ステーキの上にのせられた焦がしにんにくや根菜類が得も言われぬ香ばしさを漂わせ、食欲を誘う。すりおろした玉ねぎに漬けてから焼いた牛肉は、適度にやわらかで、ひと口ごとに引き締まった赤身の旨みが広がる。さらに、赤ワインの酸味を効かせたソースが、軽やかさを添える。河野シェフ自らがデザインした皿と、盛り付けの一体感も、「モナリザ」ならでは。絵画のようなひと皿と、都心を一望できる眺め。ふたつの非日常を味わえるレストランだ。

Photo/ Reiko Masutani
Text/ Ryoko Nakagawa