2013年3月、京都・円山公園内にオープン。シェフの一瓢栄司さんはイタリアの主に中南部とサルデーニャ島での修業経験を持つ。「イタリアで働いたことで、より日本を意識するように。日本でならこれをどうやってよりおいしくできるだろうか？と常に考えていました」。修業先であるラツィオ州の一つ星レストランは斬新な創作料理を手がける店として知られる。そこで学んだのは地の素材を使うというイタリア料理の基本を守れば、大胆にアレンジしてもいいという発想の自由さだった。「現地で食べた料理を僕のフィルターを通してひとひねりする。常に日本を感じるイタリアンを手がけていきたいですね」とシェフ。

コースの前菜は旬の素材を盛り込んだ八寸のような佇まい。柚子胡椒やムカゴ、大葉、銀杏、里芋など和の食材や調味料とイタリアンの手法が違和感なく融合し、独自の世界観を生み出す。スペシャリテのパスタは玉ねぎの甘みの代わりにバニラを使ったアマトリチャーナ。甘い香りとミントのさわやかさが濃厚なソースに変化をもたらし、不思議な余韻があとをひく。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada