京都・御所南の閑静な一角に佇む「クチーナ イタリアーナ 東洞」。大正元年に建てられたという町家は元商家、築100年の歴史を重ねた趣のある佇まい。店の1階には、シェフとの距離が近い、活気あふれるカウンター席。2階にはゆったりと設えられたテーブル席と床の間を備えた個室があり、接待やお祝いなどの改まった席にも対応する。シェフの水谷健太さんが手がけるのは、修業先である北部イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州で学んだ伝統的な郷土料理と、日本ならではの食材を生かした個性的なアプローチで魅せる料理の2つを柱に据えたイタリア料理だ。ディナーのプリフィックスコースに用意される冬の魚介のパスタが「ブロッコリ・ロマネスキのトルテッリ 赤バイ貝とその肝のソース」。

ブロッコリ・ロマネスキの甘みを包み込んだ食感も楽しい手打ち麺・トルテッリ。ソースはオマール海老のダシで味に奥ゆきをつけたところに旨みの濃い敦賀産の赤バイ貝を合わせている。泡状にした肝の苦みで味を引き締め、さらにレモンバームで爽やかさをプラス。「魚介の繊細さに合わせて、パスタは細めのものを合わせることが多いですが、個性的な味の肝のソースに合わせて存在感のあるトルテッリにしました」とシェフ。トラットリアならではの気さくな雰囲気の中、豊富なイタリアワインとともに旬味豊かな品々をゆっくりと味わいたい。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada