横浜で三代続く精肉店「加藤牛肉店」。厳選した山形牛の雌のみを取り扱うこだわりで、グルメには知られた店だ。「加藤牛肉店 GINZA」は、その山形牛の肉を思う存分味わえるレストラン。そのディナーコースは、アミューズのコンビーフに始まり、オードブル、ステーキ、締めの食事に至るまで牛肉尽くしとなっている。今回紹介するハンバーグも、コースに組み込まれている一品だ。ここでももちろん山形牛が使われており、店舗に備え付けられた高性能な業務用チョッパーで挽き肉にすることで、旨みをそのままに加工。つなぎとして加えているのは、飴色に炒めたタマネギ、そして牛スープだ。自家製コンビーフの製造過程で、牛肉を8時間ほど煮込んだ際に出るエキスたっぷりのスープを、成形できるぎりぎりの分量を見極めて練り込む。

こうすることで、噛むとふんわり肉の味わいが広がるハンバーグならではの口福を生み出している。さらに、赤ワインとバルサミコ酢を合わせたやや甘酸っぱいソースが、ほどよいアクセントをプラス。付け合わせのポテトサラダは、余分な水分が入るのを防ぐため、ジャガイモを煮るのではなく蒸し上げ、丹念につぶしたもの。味付けは、横浜の精肉店で販売されているポテトサラダと同様、オリジナルのマヨネーズで和え、なめらかに仕上げた。また、アミューズに供される、やわらかくクセのないコンビーフも、ファンが多い。トリュフオイルを塗ってカリッと焼き上げたバゲットとのコンビネーションは抜群で、食欲を誘う。さっぱりとした山形牛の脂は、アルコールとも好相性。フランス産を中心に、約80種類が揃うワインとともに、肉の宴を楽しみたい。

Photo/ Akinori Maekawa
Text/ Ryoko Nakagawa