「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」の料理長などを務めた、飯塚隆太さんがオープンした「レストラン リューズ」。旬の野菜をたっぷりと取り入れた、軽やかなフレンチが評判を呼んでいる店だ。同店で夏から秋にかけてコース料理の一品となっているのが、「アボカドと茄子のガトー仕立て トマトのエスプーマソースで」だ。ナスとアボカドを重ね、上にトマトやカイワレを散らした様子は、まるで花畑のよう。トマトをミキサーにかけ、ふんわりと仕上げた「エスプーマソース」の淡い赤がよく映える。ナスはオーブンで焼いてから皮を外して包丁で叩き、オリーブオイルで炒めて水分を飛ばしたもの。さらに、自家製マヨネーズを加えてなめらかに仕上げている。ライム汁、エシャロットのみじん切りと和えたアボカドはさっぱりとした味わいで、ナスのみずみずしさを際立たせてくれる。

トマトの酸味と甘みのバランスがとれたエスプーマソースもナスにマッチし、旬野菜のおいしさをいっそう感じさせる。「新潟魚沼産 八色椎茸をタルト仕立てに ラルドの薄いベールで覆って」は、同店のスぺシャリテのひとつ。肉厚の椎茸を香ばしく焼き、サクサクとしたパイ生地、マッシュルームや干し椎茸、パンチェッタなどを細かく刻んでソテーしたものを重ねている。全体を薄く覆っているのは、椎茸との相性がよい、豚の脂を薄いシート状にした「ラルド」だ。この組み合わせにより、「八色椎茸」ならではの風味をより濃厚に味わうことができる。どの料理も、丁寧に素材本来の魅力を引き出しており、食材に敬意を払う飯塚さんの真摯な姿勢が感じ取られるものとなっている。

Photo/ Kohei Nakamoto
Text/ Ryoko Nakagawa