2013年9月にオープン。「イタリア料理の魅力はやはりパスタだと思います。パスタの面白さをコースで楽しんでいただきたい」と浅井努シェフ。全8～9品構成のコースにはニョッキ、ラビオリなど打ちたてを含むパスタ約4品が登場する。冷製パスタは「サラダのような感覚ですね」と季節を問わずコースの中盤で提供している。「鰻とキュウリのカペッリーニ」はキュウリの持つみずみずしさを生かし、ケッパーとアンチョビ、ハラペーニョで風味をつけたソースで。一度蒸して皮目を香ばしく焼き上げた熱々の鰻を合わせる。フォークをすっと入れるとキュウリ独特の青々しい香りが立ち、なんとも爽やか。さらりと喉ごしの良い細いパスタにソースがしっかりと絡み、ケッパーの酸味とあと口にピリッと主張するハラペーニョが食欲をそそる。

冷製はほかにも、フルーツトマトを刻んだり、果汁をかき氷や泡にとさまざまな形で盛り込んだひと品や、蒸した温かい蟹をトマトソースで和えた冷たいパスタにのせて生姜をほんのりと効かせたものなど、季節ごとに登場するレシピが楽しみ。店名はシェフの名前からの「トム」とイタリア語で好奇心を表す「クリオーザ」を合わせたもの。パスタの無限の可能性をさらに追求したいと話すシェフのひと皿を楽しみに出かけたい。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada