京都の玄関口にあたるホテルグランヴィア京都は1997年の創業。「六本木 樓外樓」はホテルの15階、南に開いた窓から京の街を一望できるモダンな印象のレストランだ。上海をベースに中国・各州の料理を取り入れたメニューのなかでも、自慢は上海仕立てのフカヒレ料理。「気仙沼産のフカヒレを一枚一枚、丹念に下ごしらえをし、繊維をふっくらさせたところを煮込みます。フカヒレ本来の味やゼラチン質を生かしたいので、ベストのタイミングを逃さないよう心がけています」と田島明彦シェフ。鶏ガラからひいたスープと醤油、砂糖でコトコト煮込んだ「フカヒレの姿煮込み」は繊維のひと筋ひと筋にまで行き渡る滋味と独特の食感に陶然となる。

アラカルトはオーソドックスなメニューを中心にしているが、「大海老のチリソース煮込み」のようにたっぷりの白葱を使い、「ソースを食べる」感覚で仕上げるなど工夫を凝らす。フレンチやイタリアンなど多彩なアレンジと、鱧や京野菜など素材づかいの妙でも魅せるコース料理も好評だ。

Photo/ Satoshi Yasukochi
Text/ Sawako Yamada