オープンして約25年、大阪の美食家たちから厚い信頼を寄せられるフレンチレストラン「ラ・べカス」。オーナーシェフの渋谷圭紀さんは、1980年に渡仏、「ポール・ボキューズ」「ジョエル・ロブション」「アラン・シャペル」などフランス国内の名立たる三つ星レストランで修業を積んだ実力派。現在は、世界のトップシェフにしか加盟が認められないルレ・エ・シャトーの日本の数少ないメンバーでもある。お店の人気メニューでもある「オマールエビのサラダ」は、100種類以上のバリエーションがあるということには驚きだ。秋はジビエとともに、キノコ料理も登場。岩手県や長野県産の天然マイタケや、ピエブルー、プルロットなど、国産とフランスのキノコにこだわり、前菜からメインにまでさまざまに生かされる。

マッシュルームの味がしっかりと伝わる「キノコのスープ」や、セップ、ジロールタケ、マイタケなど食感の異なるキノコを火の入れ方を変えて旨みを引き出した「キノコのソテーと仔牛のピカタ」もその一例だ。「フランスで師と仰いだ “グランシェフ”のエスプリを自分スタイルに取り入れています。“素材を理解する”それが私のこだわりです」と渋谷シェフ。シンプルでいて究極─季節のキノコ料理にもその美学が宿っている。

Photo/ Taro Ogino
Text/ HEARST FUJINGAHO