京の雅趣を味わう料亭ならではの至福のひととき
京都・東山 菊乃井 本店
街中の喧騒をしばし忘れるほど、しっとりとした風情漂う京都・東山 真葛ヶ原。緑の山懐に佇む「菊乃井 本店」は風流風雅の習いを現代に伝える料亭である。当家は豊臣秀吉の妻・北政所が茶の湯に用いたと伝わる「菊水の井」を代々守り続け、後にその水で料理を作るようになったことから「菊乃井」の屋号が生まれたという。「料亭の基本はおいしい料理を提供することですが、店の佇まい、しつらえや風情、女将のもてなしなど複合的に楽しんでいただく場所でもあります。いわば、大人のアミューズメントパークといえるでしょうね」と三代目の主人として活躍する村田吉弘さん。玄関をくぐると、そこから始まるのは非日常の世界。
建具や床の間の掛け軸、花など季節ごとに変わる空間のしつらえ、庭の眺め、器など随所に「今、この季節を存分に楽しんでほしい」という趣向がちりばめられている。長月の懐石料理で供される八寸も遊び心がうかがえるひと品。虫かごをそっと持ち上げると、カマス焼目寿司、鱧の子落雁、鱧味噌漬け、焼き目栗、翡翠銀杏、いちょう芋など愛らしい品々が現れ、思わず頬が緩む。少し晴れがましい気分で、移ろう京の四季を五感で味わう。そんな至福の時間が過ごせるのも料亭ならではの醍醐味といえるだろう。
Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada
基本情報
記事更新/ 2014.08.18
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