魚料理や肉料理も味わえる夜のフルコースをランチ用にアレンジ

西麻布の名店「レ フェルヴェソンス」の姉妹店としてオープンした「ラ・ボンヌターブル」。名店の繊細な世界観を共有しつつ、オープンキッチンを配するなど、よりカジュアルに楽しめるフレンチを提供しています。立ち働くシェフたちは自由な服装で、あくまで自然体。楽しい気分になるとともに、料理のライブ感がダイレクトに伝わって食事への期待が高まります。

カジュアルな服装でキビキビと料理するシェフたちの姿を見るのも楽しい

「奇をてらうことはせず、素材の組み合わせの楽しさを伝えていきたい」とシェフの中村和成さん。「まず素材ありき」と、食材への探究にも余念がありません。生産者との付き合いも広く、岩手、長野、石川、千葉など全国から新鮮な食材が届きます。そんな食材の持ち味を生かして組み合わせの妙を表現。驚きに満ちた料理を作り出します。今回は、通常のランチでは提供していないフルコースを特別にアレンジしてご用意しました。

「コースは、次の料理につながるように味わいの流れを考えます」と話すシェフの中村和成さん

葉野菜や根菜など約20種類を盛り合わせたサラダ、原木（げんぼく）椎茸のローストなど、力強い野菜を使ったアミューズに続く前菜は、冷たいガスパチョをベースに、桃、リコッタチーズ、チコリ、レモンの皮、ミントを美しく盛り付けた1皿。リコッタチーズは、パンに添えるバターを作る工程で分離した乳清を煮詰めた自家製です。ガスパチョの酸味やチーズのコク、桃のジューシーな甘み、レモンやミントの清涼感……さまざまな味わいが一体となり、複雑なおいしさに。「秋にはきのこや菊芋のスープをベースにするなど、常に季節感を大切にしています」

前菜「桃、ガスパチョ、リコッタ、チコリ、レモン」（一例）

メインディッシュの肉料理はパイ包み。月替わりでパイの中身や味わいは変わりますが、通年メニューに登場するスペシャリテです。この日は、大山鶏、パプリカ、ズッキーニが層になった、彩りや食感も楽しい一品。大山（だいせん）鶏もモモ肉とムネ肉を使い、質感の違いを表現。ベルガモット酒とバターで煮詰めたソースが爽やかさを添えています。秋には、オックステールの赤ワイン煮込みなど、濃厚な味わいのパイ包みを予定しているそう。

肉料理「大山鶏のパイ包み、ベルモットのブールブランソース、パプリカ、トマト」

デザートは大胆かつ繊細。写真は甘酒の泡。まるで雪の上に花が散ったかのような美しい姿にハッとさせられます。この泡の下に、ココナッツとマンゴーのブランマンジェ、パイナップルとパパイヤのシャーベットが隠れている驚きの1皿です。「作りたてを味わえるのがレストランの良さ。泡のはかなさを楽しんでいただきたいですね」と中村シェフ。

デザート「ココナッツとマンゴーのブランマンジェ、パイナップルとパパイヤのシャーベット、甘酒の泡、花」（一例）

北欧をイメージしたという店内は天井が高く、開放的で温かな空間。壁の絵は液晶になっており、時間が経過すると別の絵に変化するという楽しい仕掛けも。リラックスした空間で、中村シェフの感性が光る特別なフルコースをお楽しみください。

壁に並んでいる絵は時間がたつと別の図柄に変わる

ウッディなインテリアや、白い壁、大きな窓から射し込む日差しが柱がナチュラルな雰囲気の店内

シェフ　中村和成（なかむら・かずなり）さん
ビストロ「ラ・リオン」などを経て「レ フェルヴェソンス」へ。2年間スーシェフを務め、2014年、「ラ・ボンヌターブル」のオープン時から指揮を執る。「さまざまな物事からインスピレーションを受け、料理とコースの流れを考えています。目指すのは絶対的なおいしさ。カジュアルに食事を楽しんでいただきたいですね」