古都に培われた食文化が感じられる味とサービス
京都・祇園 祇園川上
京都・祇園、花見小路からひと筋西へ。静かな西花見小路に店を構える「祇園川上」は築100年余の町家を改装した趣のある佇まい。創業は1957年、現在は2代目にあたる加藤宏幸さんが暖簾を守る。「うちは割烹ですので、旬の素材をダイレクトに提供するお料理が基本。お客様の目の前で仕上げて『料理が生きているうちに』召し上がっていただくよう、心がけています」と加藤さんは話す。初夏から9月下旬にかけて用意される、「淡路・由良の生うに」(写真上)もまさにシンプルを極めたひと品。先代の頃より懇意にしている淡路島・由良港の漁師・萩原さんが獲った希少なうにを直送してもらうという。
「由良のうには小粒ですが、しっかりと甘みや旨みがあります。その良さを味わっていただきたいので、できる限り加工はしたくないですね」と軽く塩を振り、ワサビを添えて供する。口の中にゆっくりと広がるみずみずしさと甘み、最後にフッと鼻に抜ける磯の香りがたまらない。「鱧のおとし」(写真下右)は氷で締めるのでなく、サッと湯通ししたものを温かいままで供する。ふわふわとやわらかい食感や味わいを実感してほしいという思いからだ。今この時期だからこそ味わえる素材の個性や魅力を「リアルに伝えたい」という心意気が伝わる「祇園川上」の料理。その潔いひと品は、訪れる者の心を惹きつけてやまない。
Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada
基本情報
掲載日/ 2016.7.19
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