開店まで1時間以上もあるというのに、店の前に置かれたリストには名前と人数を記入していくお客さまの姿が。大阪のホテルで13年間フレンチの修業を積んだオーナーシェフ坂本邦雄さんが店を開いたのは1996年。独立するにあたり、「子どもから年配の方まで幅広く親しみやすい料理を提供したい」との思いから、とんかつ専門店を選んだ。素材の豚肉は、TOKYO Ｘ（東京エックス）、日向あじ豚など約250種から、その時々でベストの状態のものを仕入れて使う。肉のボリューム感とのバランスを考え、自身が好きな粗目のパン粉でざっくりとした食感を生かすのも坂本流だ。月のスペシャルメニューとして出したものが好評でグランドメニューに昇格した、変わりとんかつ18種のなかでも人気があるのが「フォアグラとんかつ」。

ヒレ肉100gを叩いて薄くし60gのフォアグラを挟んだものを揚げる。下に敷いたソースはタルタルソースとパパイヤなどが入った自家製とんかつソースを合わせたもの。サクサクの衣の中から、ふんわりと甘みのあるヒレ肉、続いてジューシーなフォアグラがあふれ出す。上ロースとバジルやパルミジャーノ、ロースとカニクリームを合わせたものなど、意表を突く組み合わせもぜひ味わってみたい。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada