イタリアでの修業後、「リストランテ アルポルト」で副料理長を務めた本多哲也シェフが2004年にオープンした「リストランテ ホンダ」。四季折々を感じさせる食材を使い、その味わいを最大限に引き出した創造性あふれるイタリアンで多くの人を魅了し、ミシュランの星を獲得している。「料理は素材ありき。旬の食材を満喫できるような一皿を考えています」と、本多シェフ。そんな同店の春のパスタが、「三重産大ハマグリと菜の花のイカスミを練り込んだタリオリーニ」だ。大ぶりで甘みが詰まった蛤を際立てるのは、イカスミを練り込んだパスタのコク。そこにフレッシュなトマトとエシャロットの酸味や歯ごたえ、菜の花のほろ苦さが絡み合い、季節の味覚が口いっぱいに広がる。

「料理の着地点はイタリアンですが、調理途中では、和やフレンチの技法も使います」と語る本多シェフ。春には前菜として、茶わん蒸しに着想を得た「三重産大ハマグリとフォアグラのブディーノ　黒トリュフ添え」も登場する。生クリームと卵、ペースト状にした蛤を合わせ、さらに具材としても蛤を入れて蒸し、旨みをクリーミーに楽しめるブディーノ（プディング）に仕上げた。季節の口福を求めて、何度も足を運びたくなる一軒だ。

Photo/ Kohei Nakamoto
Text/ Ryoko Nakagawa