素材を慈しむシェフならではの料理を
大阪・堺筋本町 フジヤ1935
イタリア修業の後、スペインに渡り「レスグアルド」でモダンスパニッシュを経験した藤原哲也シェフが2003年にオープン。2012年にミシュランの星を獲得した店は予約困難な人気店として知られる。扉を開けると、アンダーな照明のウェイティングスペースに浮かび上がるのは青い円状のオブジェ。水滴が転がり、回転していく不思議な仕掛けがこれから始まる「藤原ワールド」への期待を募らせる。「始まりは素材。その個性を理解し、最大限に引き出す調理法、温度などを考えます。季節の食材を追いかけながら、少しずつ料理内容も変わりますね」と藤原シェフ。火を入れるとぷくっと盛り上がる肉厚のものを吟味して使う「蛤とうすいえんどうのフラン」は爽やかなガラスの器で登場。
「蛤の淡く深い味わい、そのジュースを生かしたくて」とゆっくりと火を入れることで半生状態に。身の内側に旨みを凝縮させた蛤、うすいえんどう、蛤のだしで作ったフランと泡が一体となった一皿は、蛤の魅力をより深く味わうためのもの。噛むとジュワッと口いっぱいに広がる貝の上品で深いコクは春の息吹を実感させる。素材を慈しむシェフならではの一品といえるだろう。
Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada
基本情報
記事更新/ 2014.02.18
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