閑静な住宅街に多くの文化・教育施設が点在する名古屋市東区。そんな地にある徳川園は､国宝を有する徳川美術館や「源氏物語」を所蔵する蓬左文庫が隣接する日本庭園で､フレンチレストランの「ガーデンレストラン徳川園」は園内を一望する小高い場所に店を構える。同店は2005年に開催された愛知万博の折に､各国の要人をもてなすレストランとして名古屋飲食界のパイオニア・ゼットングループが県と手を結びオープンしたもの。緑豊かな自然や「龍仙湖」を望む純和風な建物と相まって、ダイニングにはバカラグラスのシャンデリアを配すなど、和と洋が融合した設えが特徴的だ。料理にもそのテイストは色濃く表れており､カトラリーやわさびを使ったソースなど､フレンチの伝統に和と新しさを融合したものが提供されている。

シェフの宮部敏さんは名古屋や京都のホテルで腕を磨き、東京・西麻布の名店「ビストロ・ド・ラ・シテ」へ。その後フランスへ渡り二つ星レストランで3年の研鑽を積んだ方。経験が裏付ける確かな技術と、隣接する岐阜県出身だからこそ持つ豊富な地元食材の知識で作る「地産地消フレンチ」は、窓からの景色にも負けないほど鮮やかにテーブルを彩っている。

Photo/ Hiroshi Mamiya
Text/ Yuko Morishita