馬車道駅からほど近い、静かな通りに現れる赤いテント。それが地元で長年愛され続ける「ラ テンダロッサ」の目印だ。ここで味わえるのは、シェフの西沢健三さんが、イタリア・トスカーナで学んだスタイルをベースにした料理。素材は、本場イタリア産を使用するのがシェフのこだわり。ピッツァは水とイースト以外は、ほぼイタリア食材で仕上げ、薪窯で香ばしく焼き上げる。魚介類を中心に、鮮度が問われるものや、美味しい食材があれば国産の食材も柔軟に取り入れ、日替わりメニューには、「五島列島産タコのマリネ」や「産直魚介のリングイネ、ペスカトーレ」なども並ぶ。「週に2～3回来店されるお客様もいらっしゃいますし、季節感は大切にしています」と、西沢さん。

また、極力一頭買い、もしくは塊で仕入れるという肉を使ったセコンド（メインディッシュ）やパスタソースも人気だ。たとえば「鹿児島産 天然イノシシのラグー自家製ピーチ」のソースは、ブロックで仕入れた天然イノシシ肉を3日間煮込み、肉のうまみを引き出している。それらの美味をさらに引き立てるのが、約500種類が揃うイタリアワインや、スタッフの気持ちよいサービスだ。連日、70席が満員になる活況のなか、在邦イタリア人も通うという、本場の味を心ゆくまで楽しみたい。

Photo/ Akihiro Maekawa
Text/ Ryoko Nakagawa