ごちそうと健康を両立させた「野菜の美食」をテーマに掲げる「フレンチレストラン リュミエール」。2006年のオープン以来、オーナーシェフの唐渡泰さんが手がけてきたのは、バター、生クリーム、小麦粉、砂糖はほとんど使わない健やかなフランス料理だ。「旬の野菜が持つ味や個性を、さまざまな技法を駆使して引き出しています。やさしくて刺激的な料理をお楽しみください」とシェフ。 スペシャリテの「クリスタル遊園地」は、かわいいひとくちサイズの前菜をスペシャルプレートに華やかに盛り付ける。「10種類の小さな料理は1品1品が前菜のひと皿という感覚で作られています。少しずつ種類を多く召しあがりたいというお客様の願いを叶えたひと品でもあります」

炙った剣先イカには、緑鮮やかなモロヘイヤのスープ仕立てを。表面だけを炙り、中はレアに仕上げた北海道直送の本マグロはビーツで色付けしたミョウガをあしらい、下にはナスやトマト、ネギのピューレを添える。生クリームや水分を使わず、マッシュルームなどの濃厚な旨みを生かした「茸のブルーテ」など、フランスの伝統料理もシェフの手にかかるとビジュアルも楽しくヘルシーなひと品に変身。
デザートにも野菜が生かされている。ココナッツの風味をまとった根セロリのブランマンジェの上に、あえて甘みを付けない小松菜の爽やかなピューレとセロリのアイスクリーム。主役のゴボウは真空調理を施した後、キャラメル仕立てに。香ばしい風味と独特の香り、やさしい甘みが印象深い。 ボリュームはしっかりあるのに、食後が軽やかなコースは「フランス料理はこってりしているから苦手」というご高齢の方から、お子様まで幅広い年代が集まる会食にも好評だ。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada