100年以上この地で親しまれてきた「旧グラシアニ邸」。真っ白な壁と大きな窓が印象的なコロニアルスタイルの洋館は、建て直しを経て、2013年9月、さらに100年続くレストランを目指し「ラ メゾン ドゥ グラシアニ」として新たなスタートを切った。「個人の邸宅に招かれたようなくつろぎ感でお迎えしたい」という空間には古き良き時代の異国情緒が漂い、訪れる者を非日常の世界へと誘う。「五感で味わう料理を作りたい」と腕をふるうのは金丸直樹シェフ。「シャトーレストラン タイユバンロブション」やザ・リッツ・カールトン大阪「ラ・ベ」などで磨いた技術とセンスを生かした料理でもてなす。伝統的なフランス料理をベースに繊細なアレンジを加えた献立には兵庫県産の野菜や近郊で獲れた海の幸など地の恵みが使われる。

「仔牛、モリーユ茸、グリーンアスパラガスとフランスの初夏を彩る素材を合わせたひと品です」とすすめるメイン料理は、甘みのあるマルサラ酒のソースにカリカリに焼いたリードヴォー（仔牛の胸腺肉）を加えることで香ばしさと食感の面白さをプラス。やわらかい肉とフレッシュなグリーンアスパラガスの相性もいい。夏に向かっては淡路島の鱧やスズキ、明石のタコなど旬の魚介も続々登場。冬はジビエや煮込み料理なども楽しめる。

Photo/ Koichi Higashiya
Text/ Sawako Yamada